工場におけるBCP(事業継続計画)対策のポイント|災害に強い建物づくりの秘訣
近年、地震や豪雨、台風といった自然災害が頻発しています。これらの災害は、工場や倉庫の稼働を停止させ、
事業に深刻なダメージを与えるリスクがあります。
BCP(事業継続計画)とは、災害や事故などの緊急事態が発生した際に、事業資産の損害を最小限にとどめ、
中核となる事業を早期に復旧・継続するための計画です。
ここでは、特に「建物のBCP」に焦点を当て、災害に強い工場・倉庫を建築・運用するための重要なポイントを解説します。
1. 建物のBCPを考える上で重要な3つの視点
工場におけるBCP対策は、単に建物を頑丈にするだけではありません。以下の3つの視点から総合的に考えることが重要です。
- 物理的な対策:災害に耐える建物の構造・設計
- 設備・システム対策:電力や情報システムの確保
- 運用・管理対策:人命と資産を守るための運用方法
2. 物理的な対策:災害に耐える建物の構造・設計
建物の物理的な強度は、BCPの最も重要な基盤です。建物の被災リスクを減らすために、以下の点を考慮して設計・建築を進めましょう。
- 耐震性の確保
- 大規模な地震に備え、現行の耐震基準を満たすだけでなく、必要に応じて制震・免震構造の導入も検討しましょう。
- 制震構造: 建物に制震ダンパーなどを設置し、地震の揺れを吸収して建物の損傷を抑えます。
- 免震構造: 建物と地盤の間に免震装置を設置し、揺れを直接建物に伝えないようにします。
- 浸水・水害対策
- ハザードマップを確認し、浸水リスクの高い地域では高床式の建築や、重要な機器・設備を上層階に配置するなどの対策を検討します。
- 工場への水の侵入を防ぐため、止水板や防水シャッターの設置も効果的です。
- 強風・暴風対策
- 台風や突風に備え、屋根材や外壁材が飛散しないよう、強度の高い建材を選定します。
- 開口部(窓やドア)には、風圧に耐えられる強化ガラスや補強されたシャッターの導入を検討します。
3. 設備・システム対策:電力・インフラの確保
工場は電力や通信インフラに大きく依存しています。これらが停止すると、生産活動も停止してしまいます。
- 非常用電源の確保
- 停電時に最低限の事業活動を継続できるよう、自家発電装置や蓄電池の導入を検討します。
- どの機器(照明、通信機器、特定の生産ラインなど)を優先的に動かすか、事前に計画を立てておくことが重要です。
- 情報システムのバックアップ
- サーバーやネットワーク機器を被災しにくい場所に設置したり、クラウドサービスを活用してデータのバックアップを取ることで、
情報資産の損失を防ぎます。
4. 運用・管理対策:人命と資産を守るためのルールづくり
建物が丈夫でも、運用ルールがなければBCPは機能しません。
- BCPマニュアルの作成と訓練
- 緊急時に誰が、何を、どのように行動するかを明確にしたBCPマニュアルを作成します。
- マニュアルは作成して終わりではなく、定期的に避難訓練や安否確認訓練を行い、従業員がスムーズに行動できるよう徹底しましょう。
- 備蓄品の確保
- 災害時に従業員が帰宅困難になることを想定し、食料、水、簡易トイレ、医療品などを備蓄しておきましょう。
- 生産活動に必要な原材料や部品も、災害時の供給停止に備えて複数拠点での管理や在庫の積み増しを検討します。
まとめ|BCP対策は「事業継続」への投資
工場におけるBCP対策は、単なるコストではなく、万が一の事態から事業を守るための重要な投資です。
災害に強い建物づくりは、従業員の安全を守り、取引先からの信頼を維持し、そして何より会社の未来を守ることにつながります。
もし、BCP対策を考慮した工場・倉庫の建築・改修にご興味がございましたら、お気軽にご相談ください。
工場・倉庫建築ラボでは工場・倉庫建築について、
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